ただでさえ忙しい介護ヘルパーに
ひとりひとりの利用者にじっくりとかまっている時間なんてない!
というのも厳しいい現実です。

次から次へと効率よく利用者を回らなければ任された介護の仕事がいつまで経っても終わりません。
しかしその「焦り」から利用者への声かけがつい粗くなってしまいがちなんです。
一生懸命に仕事をこなそうとする介護ヘルパーに限ってついキツイ言葉を使ってしまいがちなんです。

介護する時の声かけが苦手な介護ヘルパーほど利用者のために一生懸命に介護しようとしているのに苦情がきてしまうのです。

しかし、そんなことを利用者やその家族が理解してはくれません。
それどころかケアマネージャーや介護事業所にクレームが殺到してしまうのです。

そんな理不尽なクレームに悩んでいるあなたに一度立ち止まって見直して欲しいのが「介護する時の声かけ」です。
言葉の力は時に大きなパワーをもたらします。
いつもわがままばかり言って介護ヘルパーを困らせる利用者にも「声かけ」のやり方次第でうまくかわせることも多いのです。

高齢者(特に認知症の方)には社会の常識が通じないこともよくあります。
そのあたりを考慮して「介護の声かけ」を一度考えてみませんか?

【介護現場の苦情について】

介護の声かけが苦手な方でも使える簡単テクニック

「介護の声かけが苦手・・・」
「どうして私が声かけた時だけ利用者さんは拒否してくるんだろう?」
そんな介護の声かけに苦手意識がある人に知っておいて欲しいテクニックがあります。

フットインザドア

これは営業マンが良く使うテクニックです。
「フットインザドア」
言葉ではまさしく「玄関越しにでも相手の室内に足を入れなさい」ということなのですが少し本質は異なります。
フットインザドアとは、段階的要請法とも呼ばれており、まずは小さな頼みごとを承諾させてから、徐々に大きな頼みごとを承諾させていくといった手法です。
フットインザドア”には、「一貫性の原理」が大きく関わっています。
「一貫性の原理」とは、人間には一度決心した行動や発言、信念などを貫き通したいと思う心理的な作用のことです。

では、入浴介助の拒否をする利用者さんにこんな声かけはいかがでしょうか?

声かけがうまい介護ヘルパー声かけがうまい介護ヘルパー

この前 新しく入ってきたスタッフの田中君知ってるでしょう。
今日は彼がお風呂掃除当番だったんです。
利用者みなさんのために頑張ってピッカピカにしてくれたそうですよ。
頑張ってますよね。
今度 見かけたら褒めてやってくださいね。

おじいさん

そ・・・そ・・・そうだねぇ・・・

声かけがうまい介護ヘルパー声かけがうまい介護ヘルパー

実際にお風呂がどれだけ綺麗になっているか?
見てやってくださいよ

おじいさん

そ・・・そ・・・そうだねぇ・・・
見るだけならね

声かけがうまい介護ヘルパー声かけがうまい介護ヘルパー

ほら、綺麗になっているでしょ。
よかったら実際に入って感想を田中君に言ってあげてくださいよ。
そしたら田中君も喜ぶと思いますよ

おじいさん

そ・・・そ・・・そうだねぇ・・・

小さなイエスと積み上げて、相手にノーと言わせにくくするテクニックも覚えておきましょう

ハロー効果

ハロー効果とは、人間の心理の1つで、対象物に対して後光を感じ取ると、対象の印象を歪めてしまう心理現象を指します。
心理学者のエドワード・ソーンダイクによって名づけられました。
後光を感じるとは権威や頼りにしている人からの依頼ということでもあります。

では、水分補給をしてくれない利用者さんにこんな声かけはいかがでしょうか?

声かけがうまい介護ヘルパー声かけがうまい介護ヘルパー

この前、テレビでみのもんたさんが水分を摂ったら元気になったって言ってましたよ。
鈴木さんも水分を摂って元気に過ごしていきましょうね。

利用者さんが好印象を持っていたり尊敬している人物の言葉を引用して利用者さんに行動を促してみてはいかがでしょうか

カチッサー効果

カチッ・サー理論(効果)とは、人が外部からの働きかけによって、無意識に反応してしまう心理的な原理を論理化したものです。
例えば、誰かに何かを依頼する時、理由を添えるだけで承諾率が上がるといった現象です。

例えば食事を採ることを拒否される利用者さんに対してこんな声かけはいかがでしょうか。

声かけがうまい介護ヘルパー声かけがうまい介護ヘルパー

この前、ご長男さんが来られて、しっかり食べてねって言われたましたよ。
だから、ご飯を少しでも食べませんか?

利用者さんの行動を促すなにか理由を探してみませんか。

介護の現場でこれらの声かけで利用者さんの行動が必ずしも改善されるとは限りませんが、ちょっとだけでも改善してくれたら御の字ですよね。

介護の声かけが苦手なら悪い例と良い例を理解しておこう

介護における声かけで同じことを言っているの利用者さんはまったく別の受け取り方をしてしまいがちです。
忙しさに気をとられてこんな言葉を使っていませんか?
同じ言葉でも声の口調や言い方でもかなり変わってきてしまいます。

【食事の時の声かけ】

×「食べましょう」「食べてください」
◎「いい香りしませんか?」
◎「お持ちしましょうか?」
命令口調・断定口調になっていませんか

【お礼の品物を渡そうとする利用者への声かけ】

×「規則なのでいただけません」
◎「お気持ちだけ頂きます」
感謝の気持ちを表そうとする利用者の立場になって考えてみましょう。

【食事中に居眠りをする利用者への声かけ】

×「食べないんだったら片付けますよ!」
◎「少し休みませんか?」
◎「お疲れのようですね」
デイサービスに通い出して生活サイクルの変化で体力を消耗して疲れてしまっていることもあります。

【薬の服用をしてくれない利用者への声かけ】

×「私が叱られます!」
×「飲んでくれないと困るんです・」
◎「△△先生から言われています。」
◎「■■先生も心配されていますよ」
また高齢の方には医師が特別な存在のこともあります。
専門職の考えを伝えてみてはいかがでしょうか。
また他人の手をわずらわせることに抵抗を感じて自分でやろうとする高齢者もいます。

【下着(リハビリパンツ)交換を拒む利用者に声かけ】

×「汚れていますよ」「着替えないと臭いですよ」
◎「今日はお洒落しましょうか」
◎「着替えてさっぱりしましょう」
「汚れている」「汚い」「臭う」はマイナスのイメージを持つ言葉で利用者の自尊心を損ねることもあります。

【トレイ誘導の声かけ】

×「お願いですからトイレに行ってください」
◎「お手伝いさせてください」
◎「お手伝いしますよ」
◎「風邪が流行って今うから洗面所でうがいしませんか?ついでにトイレにも寄っておきませんか」
利用者にとってトイレのことを他人にしられることえお恥ずかしいと感じることもあります。
相手のプライドを傷つけない配慮も必要です。

【入浴介助で洗髪させてくれない利用者への声かけ】

×「シャンプーしないと不潔ですよ」
×「洗髪してもらわないと困ります」
◎「シャンプーしてもよろしいですか?」
◎「ご家族も綺麗にされると喜ばれますよ」

【着替えを拒む利用者への声かけ】

×「着替えてください」
◎「着替えると気持ちいいですよ」

【急に他の用事も頼んでくる利用者への声かけ】

×「時間がなくなってしまいます」
×「そんな時間はありません」
◎「今日はちょっと無理なんですけど、また相談してくださいね」
頭ごなしに断るよりも、まずは利用者の話を聞く耳を持ちましょう。

【買い物同行で大量にお菓子を大量に買おうとする利用者への声かけ】

×「少しは控えてください」
◎「栄養士さんも心配していましたよ」
◎「これからもずっと一緒に買い物に私も来たいんです。だから栄養士さんとの約束を守ってくださいね。」

【体調が悪い(仮病)とデイサービスの送迎を拒む利用者への声かけ】

×「来てくれないとこちらも困るんです」
◎「体調が悪い時に出かけたくないお気持ちもわかります」
◎「自宅でおひとりだけだと心細いですよね」
無理にデイサービスへの強要は逆効果の場合もあります。

【散歩に出たいが靴が履けずにイライラしている利用者への声かけ】

×「落ち着いて履いてください」
◎「靴ベラを使って履いてみませんか」
◎「履きやすい靴もありますので今度試してみませんか?」
自分では気づかないうちに命令口調・指示口調になっていませんか?
利用者が気持ちよく散歩に出られるように考えることも大事です。
履きやすくする方法や履きやすい靴を介護側から提案するのも良いでしょう。

【自分でできることでもやろうとしない利用者への声かけ】

×「ご自分でやってください」
◎「一緒にやってみましょう」
◎「無理をしないで出来る範囲でやっていきましょう」
利用者がイライラしているようなのでヘルパーが代行するのではなく、辛い気持ちを受け止めていることを相手に伝えることも重要です。
次は体調を見ながら一緒に取り組もうという姿勢で前向きな気持ちのやる気につなげるように促しましょう。

【「はい」「いいえ」しか話さない利用者への声かけ】

×「どうしましたか?」
×「大丈夫ですか?」
◎「胸に痛みはありますか?」
◎「痛い場所を書いて下さい」
失語症で言葉が話せない人でも筆記や指差しでコミュニケーションをとることができる場合もあります。
介護ヘルパーも慌てず冷静に行動し多様な方法を駆使しましょう。

【何をしていいかわからない利用者への声かけ】

×「散歩でもしてみたらいかがですか?」
◎「話を聞かせてください」
高齢者にある特徴のひとつに気持ちの不安定があります。
何をしていいのかわからないお年寄りにはまず話を聞いてあげることです。
そこから本人がいききと取り組めることを一緒に探し当てることのお手伝いをしていきましょう。
日常的に好きだったことに思いをはせていないか?
その様子があれば少しずつ関心のある話題に近づいていきましょう。

【家族の悪口や不平不満を介護ヘルパーにぶつけてくる利用者への声かけ】

×「それはひどいですよね」
◎「ところで、最近の配食のお弁当の味はどうですか?」
短時間の訪問の中で作業しながら聞き流していると結果として一緒に利用者の家族のことを悪く言っているように受け取られてしまうこともあります。あまり利用者の家族のことには深入りせずに話題を変えるようにしたほうががよいかもしれません。
返事の内容が不適切だと利用者家族から苦情が入ることもあります。

【自分の希望が通らないと怒る利用者への声かけ】

×「それくらいは自分でやってください」
◎「一緒にやりましょう」
◎「出来るように応援しています」
自分の味方だと思っていた介護ヘルパーが自分の思い通りのことをしてくれないのに腹を立てる利用者もいます。
出来ない原因が「その日の気分:なのか「生活背景」にあるのか?
利用者の気持ちを考えて、決めつける表現は避けた方が無難です。

【介護ヘルパーの支援の様子を間近でじっと観察しているだけの利用者家族への声かけ】

×「このお茶を飲ませてもらえませんか」
◎「お茶を飲ませてあげるとお喜びになられると思いますよ」
◎「お母さんの様子を気にかけてくださるんですね」
利用者家族の協力は介護ヘルパーとの信頼関係があってこそ成立します。
利用者家族の中には「自分たちはお客なんだから」という感覚で介護ヘルパーがやるのが当たり前と考えていることもあります。
家族にも介護を手助けしてもらうことで双方が利用者の状態を確認できます。

【思い立ったらすぐに行動をしたがるわがままな利用者への声かけ】

×「これが終わったら行きますから」
◎「途中でもいですか?」
◎「ちょっとお待ちください」
思い立ったらすぐにでも行動したいわがままな利用者さんと区切りのよいところまで作業を進めたい介護ヘルパーとのトラブルは良く起こります。
気難しい利用者なら身軽に動けるように介護サービスの開始から終了までの手順をよく考えてみる必要もあります。

【介護ヘルパーの些細な言動に怒るやすい利用者への声かけ】

×「頑張りましたね」
◎「うわ!すごい!どう片付けたんですか」(驚)
◎「教えてくれませんか?」
どうしても介護ヘルパーは知らず知らずのうちに「やってあげている」という感覚になってしまいがちです。
そのためどうしても口調が上から目線になりがちです。
自分の孫世代の年齢の介護ヘルパーから言われたら利用者はどう感じるでしょうか?
自分の感想を言うのではなく、利用者の話を聞く姿勢も大事です。

【デイサービス帰宅後着替えや持ち物が無くなったとクレームをいう利用者家族への声かけ】

×「捜しました見つかりません」
◎「利用者家族さんにも全て確認したんですが見つかりませんでした」
施設側も「出来るだけのことをした結果、見つからなかった」ということが伝われば誠意も伝わるかもしれません。
あるいは電話だけよりも自宅に訪問して利用者家族に直接説明し謝罪の言葉を述べるのもよいでしょう。
小さなトラブルの積み重ねで利用者家族の怒りがいつか一気に爆発して大きなトラブルにもなりかねません。
問題が小さいうちにきちんと対応して誠意をみせておきましょう。

【利用者の生活愛用品を介護ヘルパーが誤って捨ててしまうトラブル】

×「これ、捨てますよ」
◎「これは捨ててもよろしいですか」
介護ヘルパーの勝手な判断で利用者の生活愛用品を捨ててしまうこともあります。
たとえゴミ同然のものでも利用者自身が生活の知恵としてでは意外なものが思わぬ形で使われていることもあります。
介護ヘルパーは先入観を持たずに利用者の生活の様子を注意深く観察し、捨てるにあたっては確認することを怠ってはいけません。

【介助を頼まず自分でしようとする利用者の危険な行動】/span>

×「そんなことを自分でするのは無理です」
◎「お手伝いさせてもらえませんか?
「まだまだこれくらい自分でできる」と利用者は考えていても実はそれは危険な行動なこともあります。
事故のリスクを回避するために、何度も根気強く申し出ることも重要です。

【他の介護ヘルパーの悪口を言う利用者への声かけ】

×「他のヘルパーをそんなに悪く言わないでください、私たちも一生懸命やっているんです」
◎「気をつけます」
◎「そうなんですか。詳しく聞かせてください」
高齢者(特に認知症の方)は理不尽で自分勝手な屁理屈を言って他の介護ヘルパーを悪く非難してくることもあります。
しかし、それにいちいちカッとしていてはいけません。
その多くは利用者の勘違いや物忘れのことも少なくないのです。
多くの利用者はさんざん文句を言っているうちにスッキリするものです。
ただの八つ当たりを聞かされるヘルパーにはたまらないものですが、それも仕事かもしれません。

【自宅にゴミが散乱し掃除を促してもしない利用者への声かけ】

×「うまく掃除ができてないみたいですね。一緒に掃除しましょう」
◎「なにかお困りごとはな例えばゴミ出しとか」
◎「このお部屋の掃除の段取りのコツを教えてくれませんか?指示してくださいね」
掃除にこだわるのではなく、別の切り口で手伝えることがないか?も提案してみましょう。

【認知症で服薬のことを忘れる利用者への声かけ】

×「飲まないとダメです」
◎「娘さんから飲むようにお願いされています」
よく認知症で自分の服薬を忘れてしまう利用者もいます。
そんな時に介護ヘルパーが強制しるよりも家族からの要望であることを伝えてみてはいかがでしょうか?